2012年06月26日

「僕は友達が少ない (8)」読了。



僕は友達が少ない8巻読了。
今回はシリアス多め、ギャグ少なめでした。

とはいえ、はがない。
シリアスと言っても鬱展開とか気分の悪くなるようなネタは避けています。
うん、賢明だね!
無駄な鬱展開ほどムカつくものはない。

表紙は理科でしたが、やはり話の核心に迫るのは彼女。
一番色々考えてて、一番裏で活躍してて、でも一番報われない感じ。切ねえな。
いや、あくまでも「友達」としての話をするなら決して報われないわけではないのか。

そしてラノベ主人公体質を受け入れて前に進む小鷹。
次巻はラブコメだね。
ヘタレであることをここまで丁寧に説明されたら、読者としてももう受け入れざるを得ない。
ヘタレである前提で、頑張れ小鷹。

そろそろシメも近いのかな。
9巻も期待しています。
posted by いずみ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評/小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月20日

【超短編小説】髪

机の引き出しの奥。
そこに僕の宝物が隠してある。

10センチ程度の髪の毛、一房。

プラナリアという生物を知っているだろうか。
体を2つに切断しても再生できるという、あれだ。
この髪の毛は、一目惚れした女子のもの。
名前は知らない。
高校へ向かう電車の中で見つけた、一際美しい少女。
ある日後ろから忍び寄ってバサリと切り取った。
プラナリアのように、髪の毛から彼女が再生しないかな、と思って。
100本ほどの髪の毛の束を、愛おしく撫でる。
100本の髪から100人の彼女が再生すれば、それはそれは素敵なことじゃないかな。
そんなことを思って、僕はひとりほくそ笑む。

数日が経って、髪の毛に少しずつ変化が現れた。
明らかに伸びている。
徐々に、確実に、長くなっていく。
髪の毛は緩くカーブを描いて。
1ヶ月後、それは円になった。
髪の束の円。
更に注意深く観察すると、どうやらそれは動いているらしい。
ピクリ、ピクリと。
何かを訴えかけるように、動いている。

そこで僕は、ああ生きているのだから水分がいるのじゃないかなと思った。
何故そう思ったかは分からない。
生き物らしく成長し、蠢いているところから連想したのか。

僕は慌ててコップで水を垂らした。
途端に、それまで微かだった動きが活発になる。
もぞもぞと、ごそごそと。
髪の毛の円は、まるで唇のように開閉し始めた。
そうか、髪の毛が成長し、唇になったのか。
何かを訴えかけるように、という僕の感想は当たっていたらしい。
丸く開いて「あ」の形。
少しすぼめて「う」の形。
一文字に閉じて「ん」の形。
しかし僕には、唇だけで言葉を細かく読み取ることはできない。
困ったな、何か伝えたいのだろうけれど。
そう思っていると、髪の毛はやがて微かな音を発しはじめた。

「あ・・・あ・・・う」

これは凄い。
確実に、この髪の毛は言葉を発しているではないか。
もしかしたら、コミュニケーションが取れるかもしれない。
僕は耳を澄ませて、注意深く音を聞く。

「う、あ・・・し・・・し」
し?
し――何だろう。

「し・・・ね。しね。死ね、この変態」

ああ、罵っている。
罵られている。
彼女に。彼女の髪に。
彼女も、こんな声なんだろうか。
罵倒の声に癒されながら、僕は名も知らぬ彼女へ思いを馳せた。
posted by いずみ at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 超短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月12日

【超短編小説】責任

責任を取る、というのはどういうことなんだろう。
そんなことを考える。
僕には、考えることしかできないから。

責任を取る。
責任を持つ。

言葉の印象から最初に浮かぶのは、結婚、だろうか。
責任を取って結婚するとか、結婚は男の責任だとか。
よくそんな言い回しを聞く。
ここではつまり、相手の期待に沿った行動を取るということか。
例えば20歳から10年付き合った彼女がいて、今更結婚はしないと言い出せばどうだ。
彼女からすれば、私の10年を返して、と言いたくもなるだろう。
女性は特に婚期というものに敏感だ。
一般に適齢期といわれる20代を共にした彼氏が結婚しないと言えば。
それはもう、一大事と表現せざるを得ない。かも、しれない。
だからそんな裏切りはしない。
そういう意味で、責任を取る。

損害の補填、という意味合いもあるだろう。
例えば、お店の商品を壊してしまった。
よって、それを購入することでお店の損害を補填する。
保障する。賠償する。弁償する。
そういう意味で、責任を取る。
仕事の責任なんてものも大雑把に言えばこれに含まれるだろう。

プラスのことを、プラスであるように約束する。
マイナスのことを、ゼロないしはプラスになるよう約束する。
そういったことが、責任を取るということなんだろうと思う。

さて。

「じゃあこの場合、僕はどうしたら責任を取ったことになるんだろうね?」

答えない。
目の前の彼は、微動だにしない。
腹部には深々と鋭いナイフが刺さったままで。
血溜まりは乾く気配もない。

喋らなくなった。
動かなくなった。
――死んでしまった。

その原因は、多分僕にあるのだろう。
だったら、僕はどうしたら責任を取ったと言えるんだろうか。

もう少し遡ろう。
では、何故僕は彼を殺したのか?
恨みがあったからだ。
僕は酷く酷く傷ついて、生きているのも馬鹿らしくなって、死のうとして。
待てよ、と思って。
復讐をしたのだ。
つまり――僕の傷の責任を、彼に取らせたのだ。

僕は傷ついた。
悲しみ、嘆き、怒った。
その傷は決して癒えることはない。
このマイナスはどう補ってもゼロには戻らない。
ならばせめてゼロに近いマイナスにしよう。
そう思った結果が、この復讐劇なのだ。
彼は、彼の行いの償いをした――否、僕がさせたのだ。

「ああ、これで差し引きゼロってことにすればいいのか」

彼が僕を傷つけた。
僕が彼を殺した。
僕の傷は、それでも決して癒えないけれども。
それは――いわゆるアレだ。

「釣りはいらねえ、取っときな」

これにて決着。
めでたし、めでたし。
タグ:小説
posted by いずみ at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 超短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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